定年後のセカンドキャリア、何から始める?不安と見つけ方ガイド

定年が近づくと、「これから、どうしよう」という思いがふと頭をよぎるものです。長く勤めた会社を離れたあと、何をして過ごすのか。働き続けるのか、そうでないのか。

「セカンドキャリア」という言葉は聞くけれど、いざ自分のこととなると、何から始めればいいのか分からない。この記事は、そんな定年前後の方に向けて、公的データで“いまの現実”を確かめながら、不安の正体を整理し、セカンドキャリアの「始め方」と「見つけ方」を一緒に考えていくガイドです。

定年後も働く人は増えている現実

日本は総人口の29.3%が65歳以上という、世界でも有数の高齢社会です(内閣府「令和7年版高齢社会白書」/2024年10月時点)。平均寿命が延び、定年後の人生が20年、30年と続く“人生100年時代”。その中で、定年後も働く人はごく当たり前の存在になっています

実際、65歳以上の就業率は25.7%まで上昇し、就業者数は930万人と21年連続で増加しています(総務省「労働力調査」/2024年)。年代別に見ると、65〜69歳では53.6%と半数以上が働いており、70〜74歳でも35.1%にのぼります。「定年=引退」ではなく、「定年後も、何らかの形で働き続ける」ことが一般的になっているのです。

数字で見る、定年後の働き方

  • 29.3%:総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)
  • 25.7%:65歳以上の就業率。65〜69歳では53.6%が就業
  • 930万人:65歳以上の就業者数。21年連続で増加
  • 約8割:60歳以上の就業者が持つ「70歳以降も働きたい」意欲

「何歳ごろまで働きたいか」を尋ねた調査でも、「65歳くらいまで」が23.7%、「働けるうちはいつまでも」が22.4%、「70歳くらいまで」が20.0%と、長く働きたいと考える人が多数を占めます(内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」/令和6年度)。つまり、悩んでいるのはあなただけではありません。まずは焦らず、「いまの現実」を知ることから始めましょう。

不安になる4つの理由

定年後への不安は、漠然としているほど大きく感じるものです。中身を分けると、多くは次の4つに整理できます。それぞれ、データも交えて見ていきましょう。

① お金の不安

いちばん現実的なのがお金です。定年後に同じ会社で再雇用される場合、多くの人が年収の減少を経験します。民間調査では、定年後再雇用者の約9割で年収が下がり、下げ幅は平均で4割を超えるという結果も報告されています(パーソル総合研究所/2021年)。2025年4月には賃金低下を補う「高年齢雇用継続給付」の支給率が縮小されており、収入設計はより早めの見直しが必要になっています。実際、高齢者が働く理由として最も多いのも「収入のため」(55.1%)です(内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」/令和6年度)。

② 生きがいの不安

長年続けた仕事という「役割」を失うことへの不安です。毎日の張り合いや、自分が必要とされている実感が薄れるのではないか。裏を返せば、これは「働くこと」で満たせる部分でもあります。収入以外に「自分の知識・能力を生かせるから」を理由に挙げる人も12.4%います。

③ 健康の不安

体力の変化や、生活リズムの乱れへの心配です。ただ、働くこと自体が健康につながるという声も多く、仕事をする理由として「働くのは体によいから、老化を防ぐから」を挙げる人が20.1%にのぼります(同調査)。無理のない範囲で体を動かし、生活リズムを保つことは、心身の健康を支える面もあります。

④ つながりの不安

職場という居場所がなくなり、社会や人との接点が減ることへの不安です。特に近年は物価上昇を心配する声も強く、経済と社会的なつながりの両面から、「働き続ける」ことを選ぶ人が増えています。
不安は「まだ見えていないだけ」のことがほとんどです。こうして一つずつ分けて考えれば、それぞれに対処のしようがあることが見えてきます。

最初の一歩は整理から。始め方の3ステップ

何から始めればいいか迷ったら、次の3ステップで進めるのがおすすめです。

STEP01. 今の自分を整理する

これまでの経験、得意なこと、好きなこと。そして「どんな働き方をしたいか」「健康や家庭の状況はどうか」を書き出してみます。答えは自分の中にあります。

STEP02. 情報を集める

求人サイトやシニア向けのセミナー、企業の説明会、実際に働いている人の話。世の中にどんな選択肢があるのかを知るだけで、視界がぐっと広がります。

STEP03. 小さく試す

いきなり本格的に始めなくて大丈夫。短時間の仕事や体験、説明会への参加など、小さな一歩から試して、自分に合うかどうかを確かめていきます。

定年後の働き方には、どんな選択肢がある?

ひとくちに「働く」といっても、定年後の働き方はさまざまです。制度面では、65歳までの雇用確保措置を講じている企業は99.9%にのぼり、そのうち65.1%が「継続雇用制度(再雇用など)」を導入しています(厚生労働省「令和7年 高年齢者雇用状況等報告」)。一方で、70歳まで働ける環境を整えた企業はまだ31.9%。慣れた会社に残るだけでなく、外に目を向ける選択肢も知っておくと安心です

働き方特徴・こんな人に向く
再雇用・継続雇用慣れた職場で働き続けられる。多くは役割や給与が見直される。
パート・アルバイト短時間から始めやすい。生活リズムに合わせて調整しやすい。
派遣・シニア人材これまでの経験やスキルを活かして働きたい人に。
起業・フリーランス自分のペースで。好きなこと・得意を仕事にしたい人に。
地域活動・ボランティア収入より社会とのつながりや生きがいを重視したい人に。
住まいを伴う働き方住み込みや地方移住とセットの仕事。暮らしごと新しく始めたい人に。

なお、人手が不足する分野では、シニアの受け皿が急速に広がっています。たとえば「医療・福祉」分野で働く65歳以上は、この10年で約2.3倍に増えました(総務省/2024年)。経験や人柄が歓迎される仕事は、確実に増えています。

働き方に迷っている人へ。選ぶときの3つの軸

まだ「これがやりたい」と決まっていなくても大丈夫です。次の3つの軸で見ていくと、自分に合う働き方が絞り込みやすくなります。

  • 負担:体力や生活リズムに無理がなく、続けられそうか。
  • やりがい:誰かの役に立っている、必要とされていると感じられるか。
  • 続けやすさ:住まいや人間関係など、環境の面で長く働ける安心感があるか。

お金だけ、やりがいだけ、と一つの軸で選ぶとあとで無理が出やすいもの。3つのバランスで考えるのがおすすめです。

選択肢のひとつ「寮長寮母」という働き方

上の3つの軸を比較的満たしやすい選択肢のひとつが、寮長寮母の仕事です。寮で暮らす学生や社会人の生活を支える仕事で、実際にセカンドキャリアとして始める方が多いのが特徴です。
未経験から始められ、夫婦でも単身でも働けます。住まいが用意され、住居費や光熱費は会社負担というのは、「お金の不安」を和らげる大きな要素です。さらに、日々のやりとりの中で「ありがとう」を受け取れる仕事は、「生きがい」や「人とのつながり」も満たしてくれます。先ほどの3つの軸(負担・やりがい・続けやすさ)のバランスで働き方を探している方には、検討する価値のある選択肢です。
もちろん、これは数ある選択肢のひとつ。大切なのは、自分の「棚卸し」と「3つの軸」に照らして、納得のいく道を選ぶことです。

まとめ

セカンドキャリアは、一人で抱え込むと不安ばかりが大きくなりがちです。まずは情報を集め、気になる選択肢があれば話を聞いてみる。その小さな一歩が、次の一歩につながります。

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