都内大型寮

進藤夫妻

経験ゼロから始めて9年目、夫婦で築いた第二のキャリア 現役寮長寮母が語る仕事の実情と魅力

北日本から上京し、50代で寮長寮母の仕事を始めた進藤ご夫妻。現在は東京にある大型寮で約170名の学生の生活を支えながら、新人研修も担当されています。

未経験からスタートして9年が経った今、この仕事の魅力ややりがい、そして応募を検討している方へのアドバイスを詳しく伺いました。夫婦で協力しながら築いた第二のキャリアの実情をお伝えします。

——まずはお二人の自己紹介をお願いします。

寮長:寮長の進藤です。入社して9年目になります。私たち夫婦は地方出身で、子どもが3人。下の子の大学進学をきっかけに新しい働き方をしようと決めて、夫婦で寮長寮母という仕事に飛び込みました。
最初は都内の寮に赴任し、その後神奈川県の新設寮を6年半担当。現在は都内大型寮に勤務しており、新人の寮長寮母の研修も任されています。

寮母:夫と一緒に寮母として働き始めました。主に食事づくりや発注業務を担当しています。学生やパートスタッフの皆さんと日々接しながら、安心して暮らせる環境を整えることが私の役割だと思っています。

——この仕事を始める前は、どのようなお仕事をされていましたか?

寮長:私は18歳から地元で働き始め、長くサービス業に従事してきました。接客の仕事は好きでしたが、体力的にも年齢的にも次のステージを考えるようになっていました。そんなときに、子どもの学費の問題が出てきましてね。全員を大学進学させ卒業させるには、授業料や生活費が重くのしかかってきました。

このままでは家計がもたなくなる日がくると思い、夫婦で一緒にできる仕事を探し始めたのがきっかけでした。

寮母:私は仕事と子育てを両立させながら過ごしてきました。子どもたちを育てながら、ずっと家のことに専念していたんです。だから外で本格的に働いた経験はほとんどありませんでした。
ただ、家事や食事づくりは長年やってきたことでもあります。これまでの経験を仕事に活かせるかもしれないと思えたことが、この仕事を始める後押しになりました。

——寮長寮母という働き方を知ったきっかけは何でしたか?

寮長:当初は私一人で関東に出て働くことも考えたのですが、仕送りや家賃などを考えると現実的ではありませんでした。夫婦で住込みで働ける仕事を探していた時に、インターネットで寮の管理人の求人を見つけたんです。
調べていくと、共立メンテナンスは上場企業でホテル事業も展開している。会社としても信頼でき、ここなら安心して働けると思いました。

寮母:実は、息子が大学の全寮制の寮に入った時に、寮長寮母さんと接する機会があったのです。その時の印象がとても親しみやすく学生を支えている姿を目にして、「こういう働き方もあるんだな」とイメージできました。

夫から共立メンテナンスで働くのはどうかという話を聞いた時も、あの時の寮長寮母さんのように働けるのではないか、と思ったので、不安よりも挑戦してみたい気持ちが強かったですね。

——入社前に不安だったことはありますか?

寮長:地方ではこうした住み込みの仕事が少なく、仕事内容の具体的なイメージを持てませんでした。ただ、採用が決まった以上、やるしかないと腹をくくりました。

寮母:私にとっては、東京で暮らすこと自体が大きな不安でした。知り合いもいない土地で、本当にやっていけるのか。頼れるのは夫だけ。
けれど、住み込みで一緒に働けるという安心感もありました。結局は一緒に働くのであれば大丈夫、という気持ちが不安を上回りましたね。

——現在のお仕事内容について詳しく教えてください。

寮長:私は寮の管理人として、また寮の責任者として業務にあたっています。管理業務には事務作業、施設設備のメンテナンス、故障時の修繕依頼、寮生さんとのコミュニケーションなどが含まれます。

1日の流れは、朝7時の業務開始から事務所の準備を行い、9時前には学校に向かう寮生さんへの声かけをします。毎日の報告書作成、寮生の在不在確認、午後1時までの荷物受け取り作業の後、夕方4時以降は再び事務所で修繕依頼の処理や帰寮する学生さんへの声かけを行います。23時の門限チェック、24時以降の戸締りまでが大まかな流れです。

また、通常の管理業務に加えて、新人教育という役割も担っています。御茶ノ水の寮は研修寮でもあるので、ここに新しく入社した寮長寮母が一定期間滞在し、私たちの指導を受けてから現場に配属されます。

寮母:私は食事づくりを中心に担当しています。朝5時から厨房に入り調理を開始します。6時30分の食事提供に向けて7時頃までに準備を完了し、管理人室に戻って身支度を整えて朝食を取ります。その後は管理業務の補助として電話応対や業者対応、毎日の食材発注業務を担当します。

朝早い仕事のため、お昼頃に休憩を取りながら、何かあればすぐに対応できるよう待機しています。16時から再び厨房に入って夕食の調理を始めます。18時30分からの食事提供時間まで厨房にいて、22時頃まで白衣を着用して対応できるようにしています。

——調理のお仕事について、未経験の方へのアドバイスをお願いします。

寮母:毎日の献立やレシピは会社から提供され、指示に沿って調理を行います。切り方や調理法も細かく指示されているので、未経験でも安心です。パートさんと一緒に協力しながら進めるので、一人で仕事を抱え込むことはありません。

100人分の食事をつくると聞くと、最初はとても不安に思う方が多いと思います。私も同じでした。ですが実際にやってみると、思っていたほど難しいことではありません。家庭料理の経験がある方ならすぐに慣れると思いますよ。

大切なのは、10人分を10回作ると考えること。最初から大人数を意識すると緊張してしまいますが、少しずつ手順を覚えれば必ずできるようになります。設備も大きな業務用ですが、慣れてしまえば家庭用よりも効率が良いくらいです。

寮長:むしろ、料理経験が豊富すぎる方のほうが大変かもしれませんね。自分流にアレンジしてしまうとレシピとずれてしまうんです。真っさらな気持ちで指示通りにつくる。それが一番うまくいきます。

——お仕事で気をつけていることや心がけていることはありますか?

寮長:関わる人は、寮生だけでなく、その先には保護者や学校関係者もいます。寮生には安心して暮らせる場所、保護者や学校関係者には、子どもを安心して預けられる場所と思ってもらえるよう、常に誠実であることを心がけています。

もうひとつは、寮生の表情や体調の変化に敏感になること。毎日顔を合わせているからこそ、今日は元気がないなと気づけることがあり、その一言が大きな安心につながります。

寮母:私は、安全で安心できる食事を第一に考えています。衛生面の管理はもちろんですが、食堂全体の雰囲気づくりも大切です。
パートさんと明るく会話しながら調理場の空気を和ませる。朝は来たらおはよう、食べ終わったら行ってらっしゃい、夜はこんばんは、食べ終わった人はお休みなさいと声を掛ける。そうした小さなことが、寮全体の安心感につながると思っています。

寮長:仕事の役割分担については、基本的には私が管理、妻が調理という分担です。ただ、完全に分けてしまうのではなく、常に情報を共有するようにしています。たとえば修繕予定や業者対応についても妻に伝えておく。逆に食材の納品が遅れているときには私がサポートに回る。夫婦ならではの柔軟な協力体制を取っています。

寮母:寮長が不在のときは私が代理で対応することもあります。困ったときにそれは担当じゃないから、と線を引かない。二人で寮を支えているんだから、協力し合うのは当然だと思っています。

——寮生とのやり取りで、心に残っているエピソードはありますか?

寮長:以前勤務していた寮での出来事をよく覚えています。ある寮生の保護者から本人から連絡が取れないと伝言があり、様子を見てみると体調が優れないように見えて、すぐに病院へ連れて行きました。検査の結果、緊急手術が必要な病気だったんです。

あのとき対応が遅れていたら大事になっていたかもしれません。無事に回復して卒業していった姿を見たときは、心から安堵しましたし、寮長としての責任を改めて感じました。

寮母:私は、大型台風でスタッフが来られなくなり、夫婦だけで調理を担当したことが印象に残っています。
危険だから外には出れず、寮生たちが食堂に集まりみんなで食事を囲んだんです。大変ではありましたが、あの一体感は忘れられません。非常時でも、ここにいれば大丈夫だと思ってもらえることが、私たちの大事な役割だと実感しました。

——この仕事でやりがいを感じる瞬間を教えてください。

寮長:さまざまな業者さんや本社の担当者、全国各地から来ている寮長寮母の皆さんとの出会いがあることです。この仕事でなければ生まれなかった人とのつながりは、人生の貴重な財産だと感じています。

また、寮生も全国から集まってくるため、訪れたことのない地域の話を聞いたり、本人たちの趣味の話を聞いたりすることで、視野が広がって楽しいですね。

寮母:退寮した寮生が保護者と一緒に訪ねてきてくれることが何よりの喜びです。思い出話に花を咲かせる時間はとても貴重です。

以前の寮では、高校1年生で入寮した学生が大学卒業後に就職報告に来てくれることもありました。長期にわたってお付き合いが続くのは、寮での生活を通じて何か特別な絆が築けたからだと思います。

——年齢や体力面で不安がある方に、伝えたいことはありますか

寮長:一般的な週休2日制の仕事とは異なり、断続労働かつ休日も夫婦で交代という特殊な勤務形態です。ですが、調整すれば有給休暇を取ることもできますし、住み込みなので通勤の負担はありません。

体力的に心配がある方でも、生活リズムを整えれば十分やっていけると思います。60代、70代の方も現役で活躍されている方もいますし、大切なのは気の持ち方ではないでしょうか。

寮母:私たちも特別なスキルがあったわけではありません。日々の経験を積み重ねながらできることを増やし、成長してきました。

結局のところ、やってみなければわからないことばかりですから、やる気さえあれば何とかなるというのが実感です。会社のサポート体制もありますし、私たちも経験者として可能な限りお手伝いします。

寮長:老後の生活設計を考えると、住込みで夫婦が同じ場所で働き、安定した収入を得られることは大きなメリットだと思います。

——寮長寮母のお仕事は、どんな方に向いていると思いますか?

寮長:人とコミュニケーションを取ることに抵抗がないことが大切ではないでしょうか。電話応対、対面での会話、業者との調整など、さまざまな場面で人とのやり取りが発生するためです。

また、鍵の紛失や設備の故障など突発的な問題にも速やかに対応する必要があるため、状況を適切に判断し、機転を利かせられるとより働きやすいですね。

寮母:特別なスキルや経験は必要ありません。私も働きながら主婦として子育てをしてきました。ただし、若い寮生の生活を見守るという観点から、子ども好きな方には向いていると思います。調理についても、家庭で普通に料理を作っている方であれば十分対応可能です。

——所属している寮について教えてください。

寮長:寮生は予備校生が多く、大学生や専門学校生も利用しています。部屋は14〜18畳と広く、プライベートを確保しやすい環境です。寮生は静かで落ち着いた雰囲気の子が多いですね。駅や学校からアクセスが良いのも魅力ですね。

ルールを守って生活していただければ、非常に快適な環境です。また、先ほど話したように、研修施設を兼ねており、新人の寮長寮母に実務を指導する役割も担っています。

——最後に、寮長寮母のお仕事に興味を持っている方へ、メッセージをお願いします。

寮長:転職には誰しも不安がつきものですが、共立メンテナンスの寮長寮母の仕事は、会社全体でのサポート体制が整っています。地区長や支援者、他の寮長寮母の皆さんが協力してくれるため、過度な心配をせずに、まずは挑戦してみてください。

慣れていくとコツを掴んで自分なりに業務をこなせるようになります。私たちも全力で応援しますので、ぜひ一緒に頑張りましょう。

寮母:特別な能力や資格は必要なく、何歳からでも挑戦できる仕事です。ご自身でも気づいていない能力があるかもしれませんので、勇気を持ってチャレンジしてみてください。
入社されましたら、私たちが精一杯サポートします。お会いできるのを楽しみにしています。

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